現役証券マンの経済コラム
~お金の流れで世界を知る~
こんにちは、当ブログで経済コラムを連載中の霧島です。
本日は、おそらく株式投資を勉強していれば一度は聞いたことがある、デリバティブ(金融派生商品)の「先物取引」についてまとめます。
先物取引とは
先物取引とは、将来の取引契約を予め結んでおく取引になります。
例えば、現在25,000円の日経平均が、3カ月後に30,000円になると考えているとします。
そのとき、3カ月後に日経平均を25,000円で買う約束をしておくと、3カ月後に実際に30,000円になった時に差額の5,000円相当が利益となる訳です。
しかしながら、逆に3カ月後に日経平均が20,000円になっていても25,000円で買わないといけない為、差額の5,000円が損失となります。
そして、先物取引の真骨頂は売り注文からの取引もできるので、株式価格が下がっても利益を上げることが出来るのです。
機関投資家が利用する先物取引
「こんな取引ギャンブルじゃん!」と思われる方も多いと思いますが、実際にはかなりの頻度で機関投資家は利用しています。
それは前回もお話ししましたが、資金決済で差金決済を用いる為、資金繰りがしやすい点や、リスク回避として使用するからです。
リスク回避とは、例えばA株式を1,000円で1,000株買って、予定通りに1,200円まで値上がりしたとします。
この時に今度は先物取引で1,200円で1,000株売る約束(株価が下がると利益が出る取引)をしておくと、株価が3カ月後に1,100円になった時でも現物で100円分、先物取引で100円分の利益を確保する事ができます。
個人投資家でこのような取引をしている方は本当にごく一部だと思います。
そして個人投資家は信用取引を使っている事が多いです。
先物取引と信用取引の違い
ここで信用取引と先物取引の違いについて確認です。
まず、どちらも証拠金が必要なのですが、信用取引は証拠金(保有している現物株も可)を使って証券会社からお金を借りて買いに行きます。
また、売りから入る時には株式を証券会社から借りてきて売却し、下落したところで買い直して借りた株式を返却します。
このように、信用取引ではお金や株式の貸借りが発生します。
しかしながら、先物取引は3カ月後等の約束になるので、お金や株式の貸借りは発生しないのです。
このように先物取引を用いることによって、機関投資家は様々な場面でも対応が出来るようになっているのです。
先物取引について少しご理解いただけましたでしょうか?
余談ですが、株取引で借金を抱える人は、大体信用取引や先物取引で損するからです。
基本的に株取引は現物株式を自身の買えるお金の範囲内でやっていれば、ゼロになることはありますが借金を作ることはありません。
改めて、利用される場合には良く勉強して説明をキッチリ聞きましょう。