現役証券マンの経済コラム
~お金の流れで世界を知る~
こんにちは、当ブログで経済コラムを連載中の霧島です。
証券会社には一定の条件を満たしている顧客でなければ紹介出来ない商品が多々有ります。
以前お話しをしましたが、例えば株式の信用取引やデリバティブ取引を活用した取引など、買付金額の最低取引単位が大きかったり内容が複雑なために「ある程度の金融資産」や「一定の取引経験」が必要となってくる商品です。
今回はそのような商品の中から「仕組債」という商品をお話ししたいと思います。
仕組債

まずこの商品を提案された事がある方はそれなりの資産をお持ちだと思います。
証券会社によって条件は異なりますが、この商品を提案するには申告している金融資産額が数千万円以上必要な場合が多いです。
これは投資家保護の観点上、各証券会社がそれぞれ自主的に行っているのです。
ではなぜそんな事が必要かと言うと、この仕組債が流動性(マーケットでの売買の量)のとても少ない商品である事が理由になります。
流動性が少ないので需要が少なく、売れない場合や、売却出来ても格安でしか買い取ってもらえないのです。
なので満期前に売却することの無いように十分な資金力を持っている人にしか買えないのです。
「仕組債」の種類
仕組債と言っても形式は様々で、為替に関係するものや株式に関係するものなどがあります。
今回は有名なものをいくつか紹介します。
その前に仕組債について簡単に説明すると「債券に別のリスクを組み合わせて利率(収益性)を高くしたもの」だと考えて下さい。
「日経リンク債(日経平均株価連動債)」
この仕組債の中では王道で販売量も多いと思われます。
これは債券に日経平均の条件を上乗せします。
例えば、日経平均がスタート時点から30%下落しなければ元本割れはせず、高い金利を受け取れますが、もし30%以上下落すると、満期時にスタート時点からの日経平均の下落率に応じて元本割れをします。
もしスタート時点から日経平均が半分になってしまっていたら元本は半分になってしまいます。
また日経平均がスタート時点から5%以上値上がりしていると満期を待たずに繰上償還となります。
通常の債券よりも利率が高いものが良く、日経平均が大きく下落する可能性が少ないと考えている投資家にはアリだと思います。
「EB債(他社株転換可能債)」
EB債は先程の日経リンク債の株式バージョンをイメージしていただけると分かりやすいかもしれません。
参照にする株式を選び、その株式が決められた割合まで下がらなければ元本割れせずに高い金利を受け取れます。
ただし決められた割合以下に株価がなると、満期時の株価を参照にスタート時点から下落した現物の株式で戻ってきます。
この際に株価が下落している分だけ元本が割れるのです。
例えば下落条件(ノックインと言います)30%で、スタート株価が1,000円だった場合、700円以下に株価が下がらなければ元本割れしません。
もし満期時に600円だとすると、現在600円の株式を1,000円の時に買った計算をして株式で償還されるのです。
もし1,000万円買っていたら600万円分の株式が戻ってくるのです。
この株式ならたとえ下落しても持ってても良いと考える方が、配当利回りよりも高い利率を得る為に選択します。
通常の債券よりも大幅に利回りが高いので魅力的な一面もあります。
しかしながら「内容が複雑な商品の設計」になってますので、必ず証券会社の社員に詳しい条件を聞くように心掛けて下さい!
上がると思う株式を選んだ方が有利なのか、上がらず下がらずの株式を選んだ方が有利なのかなど、その商品に合ったものを選ぶようにしましょう。