『原油価格』について解説!原油の各国諸事情と世界への影響!

現役証券マンの経済コラム
~お金の流れで世界を知る~

こんにちは、当ブログで経済コラムを担当している霧島です。

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今日は『原油価格』についてです。

原油という資源の観点から、世界はどう見えてくるのでしょうか。

原油の役割や、各国の原油事情について解説してみます。




原油価格

原油価格は世界経済の中でも大きな役割を果たしています。

ただ「原油価格」と言っても、原油がほぼ無い私たち日本人にはあまり親近感が無く、皆さんもふわっとしたイメージしか無いと思います。

そのふわっとしたイメージの中に「原油=中東」といったイメージがあると思いますが、実はこの構図が近年変わってきていることを皆さんはご存知でしたか?

2016年の原油産出量のランキング

1位:サウジアラビア
2位:ロシア
3位:アメリカ
4位:イラク

となっています。

上位は全部中東の国だと思っていませんでしたか?

意外ですが、アメリカが上位に入っていて、3位のアメリカと4位のイラクでは産出量に約2倍の差があり、原油世界のパワーバランスがかなり変わって来ています。

アメリカの原油事情

アメリカはここ数年で大きく順位を上げてきました。

その理由はシェールオイルと呼ばれる地下岩盤から採れる原油の増加です。

これは俗に「シェール革命」とも呼ばれるのですが、シェールガスと呼ばれる天然ガス採掘によって副産物として取れる原油が増加しているのです。

一応誤解を招かないようにしておきますが「シェール革命」とはシェールガスが採れるようになった事では無く、シェールガスを採るコストが大幅に減少した事を言います。

コストが大幅に減少した結果、採算が採れるようになり生産が拡大したのです。

シェール革命

ちなみに現在シェールガスによってアメリカは天然ガスの産出量は世界1位になっています。

シェールオイルの採掘コストは1バレル(ドラム缶一つ分)で最低40ドル程度と言われ、平均では55ドル程度になると思われます。

ここが原油大国サウジアラビアと大きく違う点で、サウジアラビアは通常の産油方法で原油を採るのですが、このコストは同じ1バレルで2ドル程度と言われています。

高い時の原油価格は1バレル100ドル以上の値段で取引されていたので、2ドルで採って100ドルで売るんですからサウジアラビアが原油で儲かるわけですよねー笑

原油の役割

次に原油がなぜ世界経済にとって大きな役割を果たしているかと言うと、その汎用性の高さがあります。

私達が使っているガソリンはもちろん、飛行機の重油にオイルライターなどに使うナフサなどの可燃性の物から、プラスチックや化学薬品など多くの物に原油は変化します。

しかしながらやはりガソリンは重要で、世界の自動車台数は約13億台と言われているので、その燃料として使われているガソリンや軽油は無くてはならない存在なのです。

アメリカの原油生産増加がもたらす影響

影響

話は戻りますが、アメリカが原油生産で世界の上位になったことの大きな意味は、世界のパワーバランスが変わる事にあります。

今までアメリカは中東に海軍を常に派遣してきました。

これは武力衝突の多い中東に圧力をかける事で戦争を未然に防ぎ、中東の武力衝突から起こる原油の高騰を抑える意味がありました。

(口実としては世界の警察としての役割を果たすための派兵ですが。)

原油や天然ガスをアメリカが国内で調達出来るようになった事で、今後もしかしたらこの派兵をやめる可能性もあり、そうなればアメリカにとっては年間の軍事費をかなり減らすことができます。

また、今まで原油の価格を握ってきたOPEC(石油輸出国機構)に対しても大きな圧力を持った事になったため、危機感を持ったサウジアラビアでは「石油に依存しない国造り」を進めて、観光や金融に力を入れて改革をしています。



ちなみにこれは余談ですが、よくドバイを原油が採れる国だと思っている人がいますが、ドバイで石油はほとんど採れません。

ドバイは中東の「経済と物流の拠点」として栄えているのであって、石油で儲かっているわけではないのでお間違いなく。

まとめ

原油と言う資源からでも、このような形で世界が見えてきます。

そして私は今後重要なってくる資源は「水と食料」だと考えています。

皆さんは世界の人口が増えてる事は知っているかもしれません。

2020年には世界の人口は80億人になるとも言われていますが、1950年の世界の人口は何億人だったかご存知でしょうか?

 

ズバリ25億人なんです。

 

お分かりでしょうか?

人類の歴史の中で、この70年の人口は3倍にも膨れ上がっているのです。

このように人口が増えて行くといずれは消費資源が枯渇すると言われています。

革新的な生産食料や海水を安価で水に変える技術が出てくれば世界のバランスもまた変わるかもしれません。

しかし今後もし紛争が起こるとすれば、それは原油を利権や宗教の戦争では無くて水や食料を奪い合う戦争かもしれません。

経済はすべてのものに影響を与えます。

皆さんも身の回りのものから世界を見渡してみてください。

執筆者

執筆者あいさつ

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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは、投資診断士の遠藤雅士です。普段はWEBデザイン事務所を営んでいます。投資歴9年、投資メディア運営4年です。資格『投資診断士』取得。個別銘柄のファンダメンタル分析から割安株を探すことに趣きを置いています。チャート読みも割と得意です。趣味は楽器、スポーツ、家族と旅行です。