現役証券マンの経済コラム
~お金の流れで世界を知る~
こんにちは、雅の株ブログで経済コラムを担当している霧島です。平素は私のコラムをお読みいただきありがとうございます。
最近ドラマ「ハゲタカ」が始まりましたね!
このドラマは15年程前にNHKで放送されていたのをご存知でしょうか?ちなみに映画にもなっているんです。
当時は大森南朋(オオモリ ナオ)が鷲津役を演じていました。人気ドラマのコウノドリで共演した大森南朋と綾野剛が、鷲津役をバトンタッチしているなんて素敵ですね。
MBOとは
さて、今回は第3話で出てきた「MBO」について書いていきたいと思います。
沢尻エリカ演じる日光みやびホテル社長の松平が鷲津に提案したMBOですが、あまり聞いたことないですよね?
しかしながら、私たちの身近な有名企業でこの手法を使って非上場企業となった大きな会社があったことをご存知でしょうか?
今回はそんな事実を交えながらお話ししていきたいと思います。
経営陣による株式買収
MBO
まず、MBOと言うのは「マネジメント バイ アウト」の略称になります。
マネジメントは経営陣を指していて、経営陣による株式買収とも言われます。経営陣がお金を出して市場から株式を買い上げるのです。
やり口は単純ですが、問題は経営陣の資金調達になります。
市場に出回る株式時価総額以上のお金を用意しなくてはいけないので、経営陣の経営方針が明確でなかったり、その担保となる資産を用意出来なければ成り立ちません。(買い上げる株式が担保となる場合もありますが)
今回のハゲタカでは沢尻エリカ演じる松平社長が自ら鷲津に融資の申し入れを行い、それを快諾した鷲津から資金調達を行なっていると考えられます。
MBOを使った身近な企業
さて、では私たちの身近でMBOを使って非上場になった会社についてですが、会社名は「CCC(カルチュア コンビニエンス クラブ)」という会社なのですが、みなさんご存知でしょうか?
「そんな会社知らねーよ!」と思われている方も多いと思いますが「TSUTAYA」と言えば知らない人はいないでしょう。
大手レンタルショップであるTSUTAYAを経営するCCCは、2011年にMBOによって上場企業から非上場企業になっています。
「経営の自由化」と「企業買収の防止」
非上場企業になるメリットは何かと言うと「経営の自由化」と「企業買収の防止」の2点があると考えられます。
ちなみに「Tポイント」と言うTSUTAYAのポイントシステムをみなさんもご存知かと思いますが、このポイントシステムについてみなさんはどれだけご存知でしょうか?
Tポイント
買い物してポイントが付いてきて、貯まったら現金のように使えますが、まさかTSUTAYAがポイントをくれていると思われていませんか?
あのポイントは、実は使っているコンビニやガソリンスタンドがTSUTAYAから買っています。
「どう言うこと?」となるかもしれませんが、まずTカード利用店になると顧客の中には「ポイントが貯まるから、あのガソリンスタンドで給油しよう!」ってなりますよね?
例えばですが、実際に5,000円給油してポイントが30ポイント入るとします。
すると、このガソリンスタンドはTカードに対して31円分の対価を支払うのです。 これは、ガソリンスタンドにとっては下手にガソリン値引きをするよりもマーケット戦略としてコストが安いので重宝されるというわけです。 |
ではこの会計処理はどうなっているかと言うと、
●ポイント30円分はCCC側の負債として計上(いつ使われるかわからないカード利用者への負債)。
●ガソリンスタンドから得たお金は資産として計上(カード利用者がポイント利用時に相殺)。
このように、資産と負債は31円と30円となるように表示されています。
しかしながら、ポイントは利用よりも貯められる傾向にあるので莫大なポイント残高になれば、資産も莫大な金額になっていきます。
この資産は利用者がポイントを利用するまで相殺が出来ないためどんどん膨れ上がります。
まとめ
MBOと、それを実際に使った身近な企業の例でした。
みなさんがハゲタカなら、資産を無駄に持っているだけの会社なんて格好の買収対象になるでしょう。
当時のCCCは「経営の自由化」の為にMBOを行うと発表していましたが、裏にはこの様な経営体系から、買収危険やモノ言う株主の台頭を無くすために非上場にしたのではないかと私は考えています。
今回のハゲタカでは沢尻エリカ演じる松平社長が経営の自由化を進める為にMBOを使っていましたが、この様な手法がある事やその裏にどんな狙いが有るのかを深読みしながらご自身の投資に役立て下さい!
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