現役証券マンの経済コラム
~お金の流れで世界を知る~
こんにちは、雅の株ブログで経済コラムを担当している霧島です。平素は私のコラムをお読みいただきありがとうございます。
現在は100年に一度の経済危機と言われている『リーマンショック』について、何話かに分けて書いております。
リーマンショック 第1話:当時の様子
リーマンショック 第2話:サブプライムローン
リーマンショック 第3話:証券化
リーマンショック 第4話:ベアスターンズ
リーマンショック 第5話:最後の10日間
リーマンショック 第6話:最後の3日間
リーマンショック 番外編:その後の経済
前回まで「リーマンショック」を題材にして、リーマンショック当日までを書いてきましたから、今回は番外編ということで「リーマンショックのその後」について書いていきたいと思います。
今年でリーマンショックから10年、あの日から約半年後に付けた日経平均約7,000円からすると今は3倍まで株価は回復しましたが、リーマンショック以降の世界の動きや、世界経済がどうなったかを追っていきましょう。
リーマンショックその後
破綻懸念
まず、リーマン破綻を甘く見積もっていたアメリカ政府はリーマンを救済するよりも多大な財政出動を行うこととなります。
リーマンが破綻した後にアメリカに襲いかかるのは各金融機関の破綻懸念でした。
特に保険大手のAIGの破綻懸念は増大していき、アメリカはこれを阻止するために、不良債権の買取、公的資金投入、不動産価格の下落を食い止める為の減税処置など、リーマンブラザーズ破綻が及ぼす大津波を予想出来なかったアメリカが津波後の再建の為に払った代償は計り知れないものとなったのです。
時のFRB議長バーナンキはリーマンショックは避けられなかったと言っており、彼は残りのFRB議長の期間を経済再生に捧げて行く事になります。
バーナンキ議長は3回に及ぶ金融緩和を行い、マーケットにお金を充満させていきます。
その金融緩和は莫大で、リーマンショック前から起算すると世界の米ドル札の流通量は約3.5倍まで膨らみます。
結果としてもたらされたのは「超流動性相場」と呼ばれた緩和マネーによる資産の値上がりです。
訪れる強烈な円高

リーマンショック後に訪れる強烈な円高時代
しかし、日本にもたらされたのは米ドル札の大量印刷による貨幣価値の下落から訪れる、強烈な円高でした。
改めて確認しておくと、貨幣を増刷すると貨幣1単位当たりの価値が下がる為、通貨安になります。
最たる例が第一次大戦後のドイツで、学校の教科書にも載っていますが、ドイツは戦後賠償を支払う為に貨幣を増刷したために通貨価値が下落し、パンを買う為にカバンいっぱいに通貨を詰めて出かける必要があったのです。
話は現代に戻りますが、アメリカに続き各国の金融緩和により日本円は独歩高の円高となり、2013年の日銀による異次元緩和まで日本は円高に悩ませれるのです。
「金融システム異常は、金融システムの正常化で対応できる」これはバーナンキ議長の発言でしたが、現在の金融は実際に正常な状態を取り戻し、アメリカは世界に先駆けて出口戦略という緩和状態からの脱却を始めています。
以上がこの10年の世界の歩みでした。
最後に
余談ですが、現在あの有名なリーマンブラザーズの本社ビルには、イギリスのバークレイズが入っています。
バークレイズはリーマンブラザーズの北米部門をビルごと買収して、イギリスから金融の中心地へと進出をします。
そして、リーマンブラザーズのアジア、太平洋、欧州、中東部門は野村證券が引き継ぎました。
世界はスクラップ&ビルドを繰り返して発展をしてきました。
そして金融の世界も同じです。
古い常識は駆逐され、新しい常識が生まれます。
金融世界でそれは新しい金融商品として市場に出回っていくわけで、ロボアドだったり仮想通貨もその1つだと思います。
この世界で新しい技術やシステムに興味が持てない人間や、過去に囚われ過ぎる人間は駆逐されると思います。
蒸気機関の産業革命が起きたイギリスから、世界の中心はアメリカに移るのに約100年かかりました。
しかし今や世界はインターネットで結ばれ、その変化速度は高速化を極めます。
私たちが生きる現代の変化に対応出来るもののみが生き残る時代に、みなさんもぜひ挑戦してみて下さい。
リーマンショック 第1話:当時の様子
リーマンショック 第2話:サブプライムローン
リーマンショック 第3話:証券化
リーマンショック 第4話:ベアスターンズ
リーマンショック 第5話:最後の10日間
リーマンショック 第6話:最後の3日間
リーマンショック 番外編:その後の経済
最後まであ読み頂きありがとうございました。