現役証券マンの経済コラム
~お金の流れで世界を知る~
こんにちは、雅の株ブログで経済コラムを担当している霧島です。平素は私のコラムをお読みいただきありがとうございます。
本日は次世代のテーマとして、MaaS(マース)と呼ばれる移動手段のサービス化についての記事です。
車の自動運転

皆さんは自動運転技術の進歩についてどれほどご存知でしょうか?「未来の技術だよね?」とか「いつかはそうなるよね?」なんて悠長な意見を聞くことも多いこのテーマですが、実は国土交通省のロードマップ(予定)では2020年には限定地域による自動運転の実施が盛り込まれ、2025年にはほぼ自動運転の車両が公道を走る見通しです。
つまり私達は2年後には自動運転車両の片鱗に触れて、7年後には自動運転車両に乗る機会を得ている可能性があり、意外と早い未来に自動運転の世界があるのです。
MaaS(マース)
そしてこの自動運転が引き起こす「100年に一度の大変革」と呼ばれるものがMaaS(マース)と呼ばれるものです。
MaaSとはモビリティ アズ ア サービスの頭文字を取って出来た造語で、直訳すると「移動手段のサービス化」という意味です。
トヨタ自動車は決算発表で「製造業からの脱却」と「トヨタのサービス業への進化」を考えていると言う発言を繰り返しており、実際に東南アジアの自動車配車サービスのグラブと言う会社に10億ドルを出資したりと業態変革を進めています。
では自動車業界に訪れる変革はどんな変革なのかというと、今後は自動運転技術を基に「必要とする人の元に必要とするサービス(移動)を提供する」業界に変わるというものです。
人に与える影響
例えば自家用車で駅まで行き、車をパーキングに停めて電車に乗り、目的地近くの駅で降りて、タクシーに乗って辿り着く工程をイメージして下さい。
この工程がMaaSでは、自動運転車両が自宅まで迎えに来て、自動運転で駅に向かい、到着後に電車で目的地近くの駅に到着すると、既に待っている現地の自動運転車両に乗って目的地へ到着すると言う流れになります。
もしかしたらお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、自家用車が必要無くなる可能性があるのです。
「でもそれってタクシーと変わらないし、タクシー代がかかるじゃん」と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、自動運転タクシーになった場合のタクシー料金は最大で現行水準から9割安くなると試算されており、移動する為に自家用車を買うと言うコストの方が将来的には高く付く可能性もあるのです。
物流に与える影響
そしてMaaSは人の移動だけでなく物流も変えると言われています。
中でも配送サービスで自動運転技術が使われると、配送地周辺の荷物を載せた自動運転車両が現地近くまで行き、最後の配達はドローンが行うと言う流れになると言われています。
また医療や金融機関の無い山間部などに無人車両が出向き、遠隔での診察や金融サービスの提供を行えるようになるなどのサービスも見込まれています。
トヨタが提供しようと考えているサービスは、このような変革に対応する為の多機能自動運転車両の提供と車両配送サービスの提供を通じた総合的MaaS企業としてのサービス提供なのです。
このMaaSと言うテーマについて考えるには、私達の頭にある自動車と言う概念を根本から変える必要があります。
一人一台の時代からシェアする時代への変革がもうすぐの未来に来ています。
アメリカではウーバーと言う会社が既に一部の地域で自動運転車両の公道実走をしていたり(事故の為現在は中断している)、グーグルやテスラなども自動運転技術の向上に力を入れていて、実は中国でも自動運転車両が既に一部の地域で走っています。
未来の話だった自動運転がもうすぐの未来になった今、自動車に関連する業界も大きく変わって来ています。
技術の進化がもたらすのはどんな時も「壊滅的な変化」です。それは今までの常識を覆し、業界のパワーバランスを全て無にしてしまいます。
そんな変化が近づいていると言うことを皆さんも知っていて下さい。