現役証券マンの経済コラム
~お金の流れで世界を知る~
こんにちは、雅の株ブログで経済コラムを担当している霧島です。
みなさんは日本がどんな外交をしていて、周辺の国家とどのような関係にあるのかご存知ですか?
実は日本だけでなく、世界におけるこの『外交の知識』を持っていると、モノの流れがわかります。そしてそれはお金の流れも映す指針になるのです。
今回は世界の国々の中からロシアについて考えていきたいと思います。
日本とロシア

地政学
突然ですが、みなさんは地政学という学問をご存知でしょうか。
地政学とは、その国がもつ地理的条件を考え、政治的、軍事的、経済的にどのようなリスクや利点があるかを考える学問ですが、この考えは世界地図を見る上で重要な視点の一つになります。
例えば、アメリカ軍が沖縄基地を日本からどんなに批判されても手放さない理由は、沖縄がアジアの軍事展開の際に欠かせない拠点となるからです。
それは、地政学的な距離にあります。
沖縄から東京までは約1500キロ、南北境界線までは約1300キロ、台湾まで約800キロ、フィリピンのアメリカ基地まで約2400キロ、グアムの米空軍基地まで約2350キロ程度と、戦闘機なら2~3時間で到着できるし、揚陸艦などで進行する場合にも3日もあれば展開が可能な距離に位置しており、更には日本の内政が安定しているため安心して基地を置ける利点もあるため沖縄の基地は重要な拠点なのです。
このような地理的な考え方を地政学と呼びます。
日本とロシアの外交
話を本題に戻しますが、最近のロシアの動向について見ている人はお気付きかと思いますが、最近になってロシアが日本に外交面で接近してきています。日本とロシアは北方領土問題について長年にわたり解決を図って来ましたが、話し合いは平行線のままです。
しかしながら、昨年プーチン大統領より北方領土問題の解決に関していきなり日本にアプローチがあり、日露会談が行われる流れとなりました。日本にとってはまたとない交渉の機会を得た訳ですが、この裏にはロシアの思惑が隠れているのです。
ロシアは現在、ウクライナ侵攻で先進国から経済制裁を受けてることをご存知でしょうか。
実はこの状況がロシアを蝕んでいたのですが、それに加えて近年では原油価格の下落がロシアを襲いました。ロシアは広大な大地を持ち、原油や天然ガスが多く取れるのですが、上場企業の多くが資源に関連する株式の為、資源価格の下落は株式を大きな下げる原因となりました。
更にトランプ大統領が就任するとロシアの状況は悪化していき、最近ではお互いに核兵器を減らす為の条約履行を停止したため緊張状態が強まり、「新しい冷戦」とも呼ばれる状態になっています。
この苦境を脱するためにロシアは日本へ、北方領土問題をカードに交渉の場へ引きずり出したのです。
そしてロシアの提案は、原子力発電が停滞して火力発電に頼る日本の足元を見て中東から高い値段で買わされている天然ガスを、北方領土を経由したパイプラインで直接東京まで届ける計画を持ちかけて来たのです。
ロシアからすれば北方領土は囮で、2島返還位はやむを得ないと考えており、こちらの計画が本懐であると考えられます。
しかしながら、これは日本にもメリットは多くあり、現在は船で輸送するために天然ガスを一度液体になるまで圧縮して液化天然ガスにして運んでいるのですが、この液化の工程が天然ガス輸入のコストになっています。しかし、パイプラインで直接送れば現在よりも割安で天然ガスを確保出来るメリットがあるのです。
まとめ
日本の資源が取れないという地政学的デメリットを突いて、自国の豊富な資源メリットを活かしてビジネスを迫る辺りは流石ですよね。
日本がこの条件をどうやって交渉するかは今後の政府にかかっていますが、このような視点で外交問題を見れることは経済を知るためにも重要なことなので、今一度世界の情勢に目を向けてみて下さい。
海外のテロや災害や戦争も、全て経済に関わっています。決して対岸の火事ではないですよ?
最後までお読み頂きありがとうございました。
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