皆さん、こんにちは。本日の経済コラムです。
2019年7月12日日経新聞朝刊総合1「米利下げ複数回圧力、市場、月末0.25%予想追加緩和も催促」より
NYダウ最高値
アメリカの株式市場でNYダウが史上最高値を更新し、27,000ドルを超えての相場動向となっています。これには利下げに対する期待による上昇の側面が強く、FRBにとっては「利下げの判断」を見送る選択も出来ない状況になっています。
近年のFRB議長に問われる素質としてよく取り上げられるのが「市場との対話力」というもので、マーケットに対する過度な期待や不安を与えずに景気をコントロールする能力が問われています。
この為、FRB議長の発言やFOMCの公開文書はその言葉の端々までニュアンスを調べられ、言い回しによる政策実行の可能性を探られています。
催促相場
この点でいうと、今回の利下げに対しての発言は市場の不安を拭って、マーケットに対する安心感を与えた結果が最高値更新という結果に結びついていると考えられるでしょう。
しかし、一度緩和を実行してしまうと発生するのが「催促相場」というものです。これはリーマンショック後にアメリカが金融緩和を行っている最中でも度々みられた「マーケットによる脅迫」のような状態です。
利下げなどの緩和策のカードは使えば使うだけ後々の正常化の段階での重石になるので、乱発はしたくないのですが、緩和の催促相場の状態ではマーケットが次の緩和を早く実行させるように株価下落が発生する状況がたびたび起きます。
特に今回の緩和は景気が悪いことへの利下げではないため、催促相場の展開には気をつけなくていけないことに加え、実際に利下げをしても「想定通り」では株価が下がる可能性もあることに注意してください。
また同時に進行している金利マーケットのフラット化にも再度注意が必要です。どのタイミングでこれが再度注目されるかによってもマーケットの様子は大きく変わる可能性があります。
しかし、今回の利下げでマーケットの予想は大きく変わり、金利低下から発生する株価・不動産の上昇が小さなバブルを形成する可能性があります。
依然としてPERなどは適正範囲内で推移はしていますが、企業収益の悪化などからPERが割高になるのであれば、どこかのタイミングでの資産の見直しが必要になってくるかもしれません。