皆さんこんにちは、本日の経済コラムです。
2019年7月17日日経新聞朝刊「老後のお金試算、備え促す相次ぐ民間調査」より
老後の暮らしにどれだけのお金が必要なのかを試算した金融庁の報告を受け、民間調査機関が独自の資産を相次いで公表しています。どの金融機関も公的年金だけでは生活水準を保つのは難しいとし、現役世代で十分な資金があるのは2割という試算も出ました。
ニッセイの基礎研究所では、生活水準を維持した老後を送るため「今と変わらない暮らしぶり」を続けることを前提にした試算をだしており、50代で最も多い年収500~750万円の層が65歳以降も今の暮らしぶりで過ごそうとすると、65歳までに3200万円が必要になると試算しています。
このお金が無い人は、今後5年間は所得の1割を貯蓄にまわし、今後10年はいまの保有資産を含め年率2.5%で運用する必要がある。しかし、これでも老後の生活水準は現状よりも10%以上下げなければならない世帯が全体の54%発生するとしています。
金融庁だけでなく各金融機関の資産においても老後の金融資産に対する見解は一致していることを鑑みると、改めて危機感を持って対応していかなくてはいけない事案であると考えます。
半分以上の世帯で資金が枯渇
また、資産運用せずに90歳まで長生きした場合、6割を超える世帯で金融資産が枯渇する恐れがあることが三菱UFJ信託銀行の調査でわかりました。
今回の三菱UFJ信託の調査ではデータだけではなく、2千人超に家計の保有資産や収支を個別に聞き取りし推計した数字であり、より現実味の高い調査になっています。
この調査の結果、退職後から90歳まで全く運用しない場合、90歳まで金融資産を保てる世帯は全体の34%にとどまりました。
つまり、約66%の世帯では資金が枯渇する結果になったのです。
同様のケースで、年率3%の運用をした場合で約47%の世帯で資金が枯渇する計算になるようで、このことから見えてくるのはもちろん退職後の資産運用の必要性もあるのですが、やはり若い世代からの資産形成の重要性があると思います。
30歳から月額1万円の積立投資を行っていくだけでも約400万円程度の資産形成になる可能性があります。
また給与の増加に伴い積立金額を増やしていくことでも追加効果が得られます。
各年齢層で持っている不安はそれぞれ違うかもしれませんが、小さな積み重ねが強力な資産形成になることや、滞留している資金が物価上昇によって今まさに価値を減らしていることなどを知り、お金と上手に付き合っていきましょう。