皆さんこんにちは、本日の経済コラムです。
2019年7月21日日経新聞朝刊「買収ファンド肥大化上期投資枠、最高の260兆円カネ余りで資金集中」より
企業やインフラに投資する買収ファンドをご存知でしょうか。
俳優の綾野剛が主演したドラマ「ハゲタカ」で題材となった投資モデルがこの買収ファンドにあたり、企業を買収して経営に関わり、業績を改善させた後に株式などを高値で売り抜ける投資手法を使用する投資家になります。
経営が良くない企業を買収し、企業再生で株式価値を最大化して売却する手法は、コストや時間が必要になりますが、その改善で利益を得られる可能性も高くなります。
また、企業投資以外にも不動産やインフラ投資から安定的なリターンを得る買収ファンドもあります。
しかし、そのような買収ファンドの中には同業他社と共謀して、企業買収後に中核部門(例えば一番利益率の高い部門であったり、その企業でしか取扱えない技術を持つ部門)などを同業他社に売却してしまったり、大規模なリストラを行って企業自体を乗っ取るなど、形振り構わぬ手法で利益を得る買収ファンドも多く存在していたため「ハゲタカ」など悪いイメージで表現されることが多いです。
資金源が過去最大に
この買収ファンドの資金源は主に出資金等によって集められているのですが、その待機資金総額が約260兆円と過去最高金額になったようです。
その裏には利回り低下で苦戦する年金基金や大学の財団などの巨大マネーの動きも多く見られるようになってきており、高い利回りを求める世界の動きがこのようなところにも発生しています。
過去10年の買収ファンドの利回りは9%となり、上場株式の6%や債券の5%を上回る推移で動いているため、今後もこのような資金流入が続くと想定すると、世界のM&Aが買収ファンドによってなされても不思議ではないと考えます。
世界的な低金利状況であるため、少しでも高い利回りに資金が動くようになってきています。
そのような中で「今までは運用なんて考えていなかったけれど、これからは考えなくてはいけない」と考えるようになった個人や法人が出てくると考えられます。
こういった投資家が日本国内で眠っている1500兆円とも言われる資金を投資に向かわせてくれることが、日本マーケット復活のカギになってくるかもしれません。