皆さんこんにちは、本日の経済コラムです。
景気循環の途中の調整
アメリカが政策金利を0.25%引き下げ、10年半ぶりの利下げと、2ヶ月前倒しの量的引き締め終了に踏み切りました。
アメリカの景気状況は足元でも底堅い動きになっていますが、中国との貿易戦争リスクによる景気後退を未然に防ぐ手段として「景気循環の途中の調整」という言葉を使って今回の利下げを説明していました。
パウエル議長は、長期の利下げ局面入りは否定したため過度な利下げ期待を牽制しましたが、基軸通貨ドルを抱えるアメリカの利下げは、世界的な「金融緩和競争」を招くかもしれません。
しかし、この政策に市場の反応は予想通りの緩和を否定するように下落し、時をほぼ同じくして米中貿易関税第四弾がトランプ大統領により発表、中国を為替操作国認定という状況に陥り、中国も元安容認と、農産物輸入の一時停止という措置を取ったため、米中貿易摩擦から米中貿易戦争へと姿を変えました。
今回の状況になったことで、米中の交渉は暗礁に乗り上げたように感じます。
これを打破するにはどちらかが譲歩するか、会談の場で両国が話し合うかになってしまったため、8月中は上にも下にも思惑のみで動きが大きくなる可能性が高いです。
また、今回の米中関係悪化でFRBは否定していた利下げサイクルの継続を余儀なくされる可能性が高まり、現在の市場予想では年内の残り2回、合計0.5%の利下げに踏み切るとの見方が大勢になりましたので、日銀は本格的に金融緩和への準備を進めることとなりそうです。
追加金融緩和
マーケットの関心は日銀が金融緩和に踏み切る前提で「どのタイミングで実行に移すのか」という議論になっています。
各金融機関では米ドル為替105円割れが定着するようであれば、消費税増税前の9月に追加金融緩和に踏み込む可能性が高いと考えられています。
逆に緩和に踏み切らないと、足元を見られて円高に大きく傾く可能性が高くなります。
現在は105~6円程度で動いていますが、もしかすると瞬間的に100円近辺まで円高が進むかもしれません。
現在から更に追加で金融緩和をすることは、相応の副作用をもたらす可能性が高いため、金融緩和と副作用のバランスを取りながら、景気の腰折れを防ぎ、且つ円高圧力を回避する絶妙な金融緩和が日銀には求められそうです。