本日は債券投資についての基礎知識と、近年、金融機関などでよく見かけるようになった『個人向け国債』についての解説をしていきたいと思います。
あとは個人向け国債についての基礎知識と、なぜ証券会社などの金融事業者が個人向け国債を売りたいのか、というちょっとした裏話的なことを書いていきます。
債券の仕組み

債券とは、国や企業などが資金を調達するために発行する証券のことで、一種の借用証書です。
つまり投資家は債券を買うことで、その発行母体に対して定められた期間お金を貸すようなイメージ。
投資家が債券に投資する最大の特徴は、満期まで保有していて、なおかつ発行母体が破綻しない限りは元本+金利分が返ってくるという点です。
(市場で売買されるときの転売価格はその時の時価によるので、元本を割る可能性もあります。)
国債への投資が安全とされているのは、発行母体が政府であるため、国が破綻しない限り元本と利子が保証されているからです。
債券の分類

債券は、『内国債』と『外債』に大別され、その中で更に分類されます。
内国債
内国債は、『公共債』と『民間債』に分類されます。
■公共債・・・公共債は『国債』『地方債』『政府関係機関債』『地方公共債』があります。国債は上述したように国が発行している債券のため、一番信用度が高いとされています。また国債も、長期国債や個人向け国債、建設国債、赤字国債など、さまざまな種類があります。『地方債』は地方公共団体が発行母体となっていて、国債と合わせて『公債』と言われます。
■民間債・・・民間債には『金融債』『社債』『特定社債』『投資法人債』があります。社債は民間の事業会社が発行している債券です。金融債は、あおぞら銀行、新生銀行、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行、信金中央金庫、農林中央金庫、商工組合中央金庫が発行している債券です。
外債
外債というのは、発行体、発行通貨、発行市場のいずれかが海外の債券のことを言い、『円建外債』『ユーロ円債』『外貨建債』などに分かれます。
■円建外債・・・国際機関や海外の政府、海外企業など、海外の発行母体が日本市場で日本円建てにて発行するもの。
■ユーロ円債・・・日本や海外の発行体が日本以外の市場で発行する円建ての債券。
■外貨建債・・・元本の払い込み、利子の受け取り、償還の全てを外貨で行う債券。
外債で運用するメリットは、公共債や民間債と比べて金利が高かったり、為替差益分の利益を見込めることや、分散投資ができるという点が挙げられます。
公募債と縁故債
購入できる人により分類
■公募債・・・誰でも購入することが可能。
■縁故債・・・債権の発行者と特定の関係がある人だけが購入できる。私募債とも呼ばれます。
新発債と既発債
発行される時期により分類
■新発債・・・新規に発行される債券。
■既発債・・・すでに発行されている債券で、市場に出回っているものを言います。
個人向け国債
『国債』なんて大それた名前ですが、もちろん個人でも国債を買うことは可能です。近年、各金融機関などで『個人向け国債』などの金融商品がありますので、それらがどういったものか特徴を書いてみます。
個人向け国債の特徴
こちらは楽天証券で販売している個人向け国債のページの一部です。


僕は普段から楽天証券を使っていますが、ここでも個人向け国債を販売しています。
国債投資の特徴はというと、
1、満期まで保有した場合、最低金利0.05%を保証
2、1万円から購入できる
3、発行母体が国だから安心
4、直前2回分の利子を差し引けば途中解約も可能
といったところでしょうか。
安全・安心・お手軽な金融商品、という印象ですよね。
定期預金に預けて0.01%の金利しかつかないわけですから、その点を考慮すると実際にお得だと思います。
【裏話】なぜ個人向け国債を売りたいのか
それではなぜ、証券会社などがどこも個人向け国債などを売り出しているのでしょうか。正直、このブログを読んでくれている方は皆さん株などの投資に興味がある方が多いですし、実際一般的な金融商品と比べると、リスクが限りなく小さいがゆえにリターンもかなり少ないですよね。それなのになぜ国債を販売していきたいのか。
『共通KPI』という金融庁が発表しているデータがあります。これは、投信を販売する全ての金融事業者に対して金融庁が提出を求めている指標データで、各々の金融機関が投信の運用でどれだけの数を運用していて、また、どれだけの成果を挙げているかを『見える化』し、開示しているデータになります。
つまり、投資家がどの会社で投信を買うかの判断材料として相対的に判断することができるようになるわけです。自分の身に置き換えてみると分かりますが、当然たくさん運用していて、たくさん成果を挙げ得ている会社で運用したいと考えるのは自然なことですよね。
ですが、投資などに全く興味がない人たちに、証券会社もいきなり投資信託を売るのは難しいのです。そういった理由から、まずは安心・安全な『国債』の投資を武器に販売を進めていき、新規顧客の購買のハードルを下げます。そして満期を迎えたタイミングで投信などに切り替えていく営業をしていき、結果として投信などの金融商品でストックを増やしていく、という思惑があるのです。
投資商品というものは溢れています。ご自分のリスクの許容範囲、投資の目的、自己資金量など様々なこと考慮し、皆さんも素敵な投資ライフを送ってください。