先日までのイランとアメリカの対立の火種がまだ残る中、今回の緊張状態を背景にして原油の値段が上昇した展開がありました。ここで覚えていただきたいことは「原油の決済通貨は米ドルである」ということです。つまり、米ドル為替と原油価格は関係性が高いということ。
結論から先に伝えてしまうと「原油価格の上昇は米ドルの下落に繋がる」要するに逆相関なわけです。これは短期での視点ではなく長期の視点を基にしているので、短期のトレードにとっては意味を成しませんのでご注意ください。
ではなぜこのようになるか、ドル円為替を使って考えてみると、
■原油価格1バレル50ドルだった時に、1ドル100円が1ドル90円の円高(ドル安)になったと仮定します。 |
すると、日本から原油を買付した場合、
1バレル5,000円
⇩
1バレル4,500円
になり、日本からは原油を安く調達できるため、原油の需要は上がります。
しかしながらこの状況が長引き、需要増から原油価格が上昇し、1バレル55ドルとなってくると、1ドル90円だったとしても日本円で1バレル4,950円となってくるため、需要が落ち着いてきます。すると、決済通貨である米ドルの需要が減少するため、ドル安につながるからであると考えられています。
今回はわかりやすくするために日本円のみで考えていますが、実際には「米ドル以外の全通貨が対象」となってくるため、非常に大きな流れを生むことがわかります。
この流れはある程度の信頼性はありますが、実際には「有事のドル買い」や「リスク回避の円買い」などの状況もあるため一概には言えません。
また、近年ではリスク回避=円買いの風潮から、リスク回避=ドル買いの風潮も出てきているため、常にドル円為替だけではなく、他通貨との比較を徹底し、お金が流入している国と流出している国の見分けをつけることを心がけてください。
ドル円は変化なくとも、他通貨では大きく変化しているかもしれませんよ。