こんにちは経済コラムを担当しております霧島です。
今回は最近話題のESG投資について確認していきたいと思います。今回は前編ということで、これまでの流れについて振り返りながら、ESG投資とはどういうことなのかについて書いていきたいと思います。
ESG投資とは
ESG投資・・・環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資のことです。
■E=環境(Environment) 環境に配慮(二酸化炭素の排出量が多くないか、環境汚染をしていないか、再生エネルギーを使っているかなど) ■S=社会(Social) 社会に貢献(市域活動への貢献、労働環境の改善、女性活躍の推進など) ■G=企業統治(Governance) 収益を上げつつ、不祥事を防ぐ経営 |
このESG投資自体は実は最近出た言葉ではなく、2006年に当時のアナン国連事務総長が提唱した「責任投資原則(PRI)」の中で、機関投資家に対してESGを投資プロセスの中に組み込むことを要求したところから始まっていますので、既に15年程度前の出来事になっています。
しかしながら、当時はESGと言っても環境問題の一部のような理解が根強く「太陽光発電企業や風力発電企業に投資をすることがESG投資だ」という認識が強くありました。
そして、これに大きく拍車をかけたのが、当時のオバマ大統領就任後に合衆国として環境問題に取り組む「グリーンニューディール政策」のもとで、1,000憶円ともいわれる環境投資が行われることとなった辺りからです。

当時は「環境投資が儲かる」との楽観的な考えから、環境企業群に対して大きな投資が行われましたが、現実はコストの高い環境企業よりも、効率的な非環境企業の利益増加でした。
結果として相対的なパフォーマンスの悪い環境企業への投資は減少し、2008年のリーマンショックの影響もあり、多くの環境企業は撤退を余儀なくされました。中でも、個人的に大きな撤退事例としては、ドイツのソーラーパネル世界大手であったQセルズが事業撤退し、韓国ハンファに身売りした事例だと思います。
このように前期のESG投資というものは実際には失敗に終わり、経済的な合理性のない投資パターンの一つとして認識されているため、現在でも「環境問題への投資は儲からない」と考えている金融機関の人間は多くいます。たしかに経済的な合理性の高さから考えたら同じものを作る(例えば発電とか)のに、コストの高い企業に投資するなんて馬鹿げてますから合理的と言えば合理的ですよね。
しかしながら、近年になってこの考え方が変わりつつあり「非環境企業への投資は駆逐される」という考え方に変わってきています。後編では非環境投資が招く投資損失について確認していきたいと思います。