日本株市場が中国不動産開発企業の中国恒大集団の影響により大幅に下落し、30,000円割れまで下落しています。今回はこの下落の経緯を確認していきたいと思います。
日本株下落の背景
中国恒大集団は中国の不動産開発で国内2位の規模を誇り、その売上高は8兆5000億円程度、負債規模は33兆円とも言われ借金が中国GDPの2%に及ぶ中国屈指の企業になります。ちなみにですが、日本国内の不動産企業のトップの三井不動産の売上高は1兆9,000億円程度なので、その規模の大きさがわかりますね。
今回この中国恒大集団に起こったデフォルト危機は、
①企業体質の問題
②中国政府の政策変更
の2点が重なり発生します。
まず、中国恒大集団は中国の不動産バブルに乗っかり規模を急拡大してきた企業ですが、直近ではレジャー施設開発やサッカークラブ経営などビジネス多角化していました。しかしながら、これがうまく回らず借金だけが増えていました。
そして、中国共産党は以前より不動産価格の高騰を回避するために住宅ローンへの規制を設けたり、不動産開発への融資を規制したため中国恒大集団は資金調達も難しい状態となってきたわけです。
これに対して中国恒大集団は資産売却などによる整理を始めていましたがうまくいかず、この度訪れる社債利払いができない可能性があるということで、格付け機関も格下げを実施し、今や八方塞がりの状態となっているのです。
今後の見通し
今後の中国恒大集団は随時訪れる社債の利払いと償還を乗り越えるために、資産の現金化を図るほか、中国共産党を頼ることになると思われますが、中国共産党が助けるならばこの下落は終了し、中国共産党が中国恒大集団を見切った場合は、もう一段下落というシナリオかと思われます。
しかしながら、リーマンブラザーズよりも規模が小さいことや、金融機関ではないという点で他国への影響は限定的であると考えているので、デフォルトの場合でも基本的には買い向かっていいのではないかと考えています。
ただし、ここで見誤ってはいけないのが今回の結果を「中国共産党が助けるか助けないか」ではなく「中国共産党はほかの企業が同じような事態に陥った時にどう動くのか」という視点で見て欲しいということです。
今後の中国は1990年代の日本と同じような歴史を歩む可能性があります。日本が歩んだ道を行くのであれば、今後は金融機関の破綻も視野に入ってきますので、遅かれ早かれもっと大きなチャイナショックの可能性が潜んでいる事案であることをお忘れないよう経緯を見守っていきましょう。
ちなみに、GPIFは株式と債券で93億円ほど中国恒大集団を保有しているそうです。