日経平均株価が31年ぶりの高値水準となり年末に向けて日経平均33,000円との声も上がるなか、ついに自民党総裁選が始まります。
今回のコラムでは現在の株高を演出している自民党総裁選について触れていくことで、今後の経済と株式市場について考えていきたいと思います。
総裁選と株高
まず、なぜ自民党総裁選が現在の株高を演出しているのかということについて理解できているでしょうか？これは深く考えていくと人間心理ということになってしまうのですが、平たく言うと「市場が求めているものが変化だから」ということになると思います。
今回の選挙には自民党総裁選により菅首相から新しい首相に代わるという変化があります。
後に控える衆議院選挙のことを考えると、国民の人気が無い自民党総裁が選ばれるということは基本的にはあり得ないので、必然的に国民に寄り添った政策を実行する人が総裁に選ばれることになるわけです。
つまりは、国民から支持を集められる政策を提示している人＝大胆な経済対策を掲げていることが重要となってきます。
反対に緊縮財政や消費税増税を行うなどの政策はタブーワードとなるので、市場にとっては誰になっても緩和経済の延長が期待できるわけです。
（もちろん、現在の日本が景気低迷しているから緊縮できないわけですが。）
候補者と方針
では改めて各4人の候補者の顔ぶれと大まかな方針を比較していきましょう。
■岸田文雄
| 現職・前職 | 前政調会長 |
| 金融政策 | ・物価目標2％
・大胆な金融緩和 |
| 財政政策 | ・大規模経済対策
・PB目標は保留 ・消費税維持 |
| コロナ対策 | ・管理庁新設
・ワクチンパスポート |
| 成長戦略 | ・所得倍増計画
・日本型資本主義 |
| 外交戦略 | ・台湾海峡問題関与
・中国関係は維持 |
| エネルギー | ・核エネルギー活用 |
■河野太郎
| 現職・前職 | 行政改革担当大臣 |
| 金融政策 | ・金融政策は日銀委任
・物価目標は明言せず ・年金改革 |
| 財政政策 | ・需給ギャップ解消
・国債財源に経済対策 ・PBは今後検討 |
| コロナ対策 | ・3回目接種の準備
・平常化プログラム |
| 成長戦略 | ・デジタル活用
・賃上げに一部言及 ・グリーン改革 |
| 外交戦略 | ・防衛力の整備と強化
・拉致問題解決 |
| エネルギー | ・原発再稼働 |
■高市早苗
| 現職・前職 | 前総務省 |
| 金融政策 | ・金融緩和と財政出動
・物価目標2％達成 |
| 財政政策 | ・物価目標2％達成
・PB規律時限解除 ・低所得者の税控除 |
| コロナ対策 | ・ワクチン接種推進
・ロックダウン法整備 |
| 成長戦略 | ・量子コンピュータ
・耐震等100兆円 ・省庁再編 |
| 外交戦略 | ・サイバー対策
・防衛費増額 |
| エネルギー | ・小型核融合炉開発 |
■野田聖子
| 現職・前職 | 幹事長代行 |
| 金融政策 | 未公表 |
| 財政政策 | 未公表 |
| コロナ対策 | 未公表 |
| 成長戦略 | ・子供対策
・人口減少対策 ・議員定数削減 |
| 外交戦略 | 未公表 |
| エネルギー | 未公表 |
※重要と考える一部政策のみを記載しています。
※PB＝プライマリーバランス（行政サービス経費と税収入のバランス）
まとめ
討論会を見た感じは、河野さんへ岸田さんと高市さんの集中攻撃といった感じで、決選投票まで想定した戦いがされているので、最後まで分からない展開となりそうです。
ちなみに、岸田さんと河野さんは金融所得税を増やそうとしているようなので政策次第では株高も敬遠されてしまうかもしれませんね。
しかし今回重要なのは「日本を変えられる存在であるか」という点です。世界から見ても投資に値する環境を作れる実行力を兼ね備えた総裁が誕生することで、新たな投資価値を日本に作ってほしいですね。
