皆さんこんにちは、本日の経済コラムです。
2019年7月3日日経新聞朝刊国際「豪中銀、2会合連続利下げ」より
世界の先進国の金利事情が大きく変化しようとしています。
6月に今後の金利引き下げの可能性を示したアメリカに加えて、金融緩和に踏み切ることに前向きな欧州や日本など、世界経済全体が利下げ・金融緩和方向に舵を取る構図が浮かび上がってきています。
その中で大幅な利下げを行っているのがオーストラリアです。オーストラリアは高金利国でしたが、中国の景気減速にあわせて資源貿易が落ち込み、2012年以降から段階的に金利を引き下げて来ました。2019年初で1.5%の金利水準も過去最低金利でしたが、今回2回の利下げで更に金利水準は低下して、オーストラリアの歴史上最低金利の1%となりました。
世界の他の先進国も金利低下の可能性が高いことや、貿易関係の深い中国経済にプラスに働く「米中貿易摩擦の休戦」が発表されたことなども寄与したため、豪ドル為替には大きな変動はありませんでしたが、記事にも書かれているように現在は「想定内の内容」であっただけで、今後継続して金利引き下げが行われる可能性もあることに注意が必要です。
しかし米中関係改善が中国経済にとってプラスに働けば、副作用的にオーストラリアにも良い影響が出てくる可能性もあると思われるので、記事でネックと言われているオーストラリア不動産市況と合わせて、中国経済状況等についても注視してください。
また豪ドル為替は下落していますが、オーストラリア株式市場は年初から上昇基調にあるため、オーストラリア株式系の投資信託などは大きく下落しているわけではないことも確認していただけると良いと思います。
不動産市況が下がっていくというと、バブル後の日本経済と同じような様相を見せ始めている気がします。今回の利下げがオーストラリアにとってプラスに働くのであれば問題ないですが、金利を下げても景気が上向かないような展開になるのは考えたくないですね。先進国でも珍しいほどの長期経済成長を遂げてきたオーストラリアが、ここ一番の壁にどう立ち向かっていくのか期待しましょう。