【経済コラム】米中問題が火種から炎へ

先週のコラムで「新たな火種」として紹介していた米中間問題が火種から炎に変わり、今後の市場環境を見据えるファクター(要素)として新型コロナウイルスにとって代わろうとしています。

▶先週のコラムはこちら

先週の記事では米中間問題の一つであるファーウェイの問題について取り上げましたが、22日から開始した中国の全人代(全国人民代表大会)において、香港に対する「国家安全法」の制定を義務付ける新たな法案が提出されたことで、米中問題を更に悪化させる展開となっています。




炎と化した米中問題

まず、上記に出てくる言葉について解説すると「全人代(全国人民代表大会)」とは日本でいう国会のようなものであり、1年に1度開催されます。通常は3月5日に開幕されるのですが、今年は新型コロナウイルス対応を優先して異例となる2カ月半遅れの開催となっています。

ちなみに、この全人代では中国の憲法で「国家最高権力機関」と位置付けられていて、国家主席の選出や、憲法の改正や、法律の制定などを行いますが、実際には中国共産党の指導下にあるため、国家主席の1年の所信表明の場になりつつあります。

その全人代で協議が予定されている香港の国家安全法は、昨年の「逃亡犯条例改正案」の際の香港での大規模なデモを受けて制定が急務になったもので、もともと香港基本法の中に制定を定められているものですが、今までも市民の反対を受けて頓挫してきたものでもあります。

 

国家安全法

中国は香港内での成立が難しい「国家安全法」を中国本土から成立に動こうとしており、成立すれば昨年の香港デモの終盤で発生していたようなデモ隊と警官の衝突のような状況に中国軍が介入することが可能となる可能性があります。

そして今回の国家安全法の導入に反対しているのが、アメリカを含む各国であり、アメリカのポンペオ国務長官は「横暴かつ破滅的であり、(香港自治の)終焉の前兆」と非難しているほか、トランプ大統領も導入が決定すれば「極めて強硬に対応する」と警告していますので、再度、関税や貿易問題に発展し、一時は軟化した貿易関税を更に悪い方向へ引き戻す可能性が高くあります。

現在の市場は、二次感染の拡大リスクや、新興国での拡大をリスクと見る中ではありますが、新型コロナウイルスの終結を意識し始めている状況下でありリスクオンのムードも出てきていましたが、この問題が再度世界的な外交問題として、次のリスクファクターになろうとしています。

一難去ってまた一難とは言いますが、新型コロナウイルスの拡大により溝を深めてしまったアメリカと中国が、悪い意味で改めて注目される日は近いかもしれません。

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こんにちは、投資診断士の遠藤雅士です。普段はWEBデザイン事務所を営んでいます。投資歴9年、投資メディア運営4年です。資格『投資診断士』取得。個別銘柄のファンダメンタル分析から割安株を探すことに趣きを置いています。チャート読みも割と得意です。趣味は楽器、スポーツ、家族と旅行です。