現役証券マンの経済コラム
~お金の流れで世界を知る~
こんにちは、雅の株ブログで経済コラムを担当している霧島です。
アメリカの利上げの可能性が2019年は無くなる形となり、為替は110円台半ばまで円高に振れる展開となっています。では、これから先は円高なのでしょうか?それとも円安なのでしょうか?皆さんも一緒に考えていきましょう。
円高?円安?
まずファンダメンタルの部分だけで見てみると、長期的な円高の要因はかなり少なくなっていると考えています。日本の経済環境から考えると人口減少も重石となり、日本は思ったような経済成長が出来ていません。結果として日本への資金流入は少なくなり、貿易収支も赤字が定着する可能性が高いと考えています。
この為、円が高くなる要因としてはマイナス金利をゼロ金利に戻す実質的な利上げなど、経済環境の変化がない限りは難しいと考えます。また現在は基軸通貨米ドルの方が安全性が高く、成長性も高いと思うので、以前の様な「リスク回避の円買い」と言う円高にも向かい難い状況だと考えています。
中国の景気減速、米中貿易問題、韓国経済の減速
しかしながら、国際情勢はそれを許さない状況でもあります。中国の景気減速、米中貿易問題、韓国経済の急ブレーキです。
同じアジア圏内で経済を見た時に、減速している中国や韓国から資金逃避をしたいと考える欧米投資家が増えた時に、自国通貨へ戻すだけなら良いのですが、運用に条件が付けられている運用機関(ヘッジファンドや保険、年金運用などの機関投資家の一部は、分散投資の観点から投資地域の比率が決められているばあがあります。)がリスク回避を考えて中国や韓国投資を引き上げて、日本への投資をシフトする可能性があるのです。
スイスフランショック
実は似たような現象はヨーロッパで発生した過去があります。EUに加盟していたギリシャの経済危機が発表され、EU加盟国のポルトガル、スペイン、イタリアにも経済危機が囁かれていたタイミングで、ユーロ下落に伴って同地域で安全通貨とされたスイスフランが物凄い勢いで通貨高になる現象に晒されました。
スイスは防衛策として無制限のスイスフラン売りを行う政策を取りますが、翌年に限界を迎えスイスフラン売りの為替介入を突然諦めたのです。これがFXをやっている人には悲劇として伝えられているスイスフランショックです。
変化の多い世界情勢で
もし同じような状態になれば、円が買われる展開は円高に繋がります。私の考えでは、アメリカの利上げが止まった今は円高に振れやすいタイミングですが、積極的な円買いは仕掛け難い状況なので、多少のブレは有っても円安に進む可能性は高いので、今年は通期で見たらやや円安程度のあまり変化のない年になるのがシナリオとして可能性が高いと考えています。
変化の多い世の中なので柔軟に対応する必要はありますが、自身の知識を使ってシナリオを描き、シナリオを書き換える必要がある事象ではしっかりとシナリオを書き換える柔軟性も持ち合わせて相場に挑んでみて下さい!