現役証券マンの経済コラム
~お金の流れで世界を知る~
こんにちは、雅の株ブログで経済コラムを担当している霧島です。平素は私のコラムをお読みいただきありがとうございます。
本記事は、前回同様、近頃大きなニュースとなっている『香港デモ』についての記事です。
前回に引き続き、今回は香港のデモの目的と今後の展開について取り上げていきます。
増えるデモの目的
現在の香港デモはすでにスタート時点の目的を達成していますが、デモの規模や過激さは日々激化しています。
これによって死傷者も多数でているわけですが、このデモが目的を達成してもなお激化するのには理由があります。
それはデモの達成目的が5つにも増えているからです。
現在の香港のデモの目的は「5大要求」と言われ、逃亡犯条例改正案の撤回はこの1つ目にしかなっていないという点があり、要求を通すまで引かないデモ参加者と警察が暴動状態となっているのです。
さて、5大要求について確認すると、
1. 改正案の完全撤回(達成)
2. 警察と政府の、市民活動を「暴動」とする見解の撤回(未達) 3. デモ参加者の逮捕・起訴の中止(未達) 4. 警察の暴力的制圧の責任追及と外部調査実施(未達) 5. 香港特区長官の辞任と民主的選挙の実現(未達) |
という形になっています。
はっきり言うと、めちゃくちゃハードルが高い要求ばかりで、香港行政もとても鵜呑みにできる内容ではないというのが本音ですが、2~4は協議によっては妥協点が見えてくる可能性が残ります。
しかしながら、5に限っては中国本国が動かなくては達成どころか、これを押し通そうとすると最終的には「天安門事件」の再来にもなりかねないです。
これを押し切るためには香港だけでなく、他地域や中国本土から声が上がる必要がありますが、それは見込みの薄い話なのです。
そして、このまま行くと中国人民解放軍が動く可能性があります。
香港特別行政区基本法では、
●2章14条・・・香港からの要請があった場合
●2章18条・・・香港で統制できない国家統一および安全に危機をもたらす動乱が発生して、香港が緊急事態に突入すると決定した場合
上記に該当する場合、中国本土が進駐軍の出動を許可する可能性があります。
つまり、デモがさらに激化した場合、香港の要請か、中国の判断で天安門事件の再来という悲劇が待っているのです。
現在は周近平氏も、天安門事件の再来を招いた代表という汚名は被りたくないので様子を見ていますが、動くときには動かなくては「国内統治もできない無力な代表」という汚名も待っているので、動かなくてはいけません。
今後この状態が長期継続するか本当に悪化した場合、香港マーケットが麻痺することで他地域も連鎖的に麻痺するドミノ連鎖、さらには金融機関破綻にもつながる可能性もあります。
発生する可能性は低いが、実際に発生した場合に大規模な経済リスクを発生させる意味のテールリスクという言葉が、現実に発生するかもしれません。