※この経済コラムは3月22日に執筆したものです。 |
感染症危険情報の引き上げ
アメリカの感染者数の増加と、一部の州では外出の禁止などの政策が取られ始める状況を鑑みて、日本の外務省は感染症危険情報の引き上げを行いました。結果として、アメリカへの渡航が制限される結果となり、これによって、今週の日経平均株価の動きもマイナス方面へ引っ張られる可能性が高くなりました。新型コロナウイルスの影響は完全に国同士の疑心暗鬼を生んでおり、経済停滞の影響を先読みする形で下落しています。
特にNYダウはトランプ大統領就任時の株価まで下落しているため、トランプ大統領にとっては自身の功績が一カ月ちょっとですべて奪われる形となっています。
今後の経済見通し
今後の状況としては、新型コロナウイルスによる悪影響の連鎖は止まっていないことから依然として下落バイアスは変わらないと思います。更に、オリンピックの延期などの追加のマイナスインパクトも予想できるため注意が必要です。
しかしながら、各国の金融政策が空振りに終わっている中で次は財政政策が注目されてくるタイミングに入ってきていると想定します。特に今回の政策の規模は大きいことが予想されており、アメリカや日本は国民への資金供給を予定しています。単純に国民の消費活性化を図る政策はシンプルであり、あるからこそ効果的かもしれません。
しかし、消費活動を活性化したいのに外出禁止や自粛では、どこまで好意的に市場が捉えるかは不透明と考えます。
為替
そして、緩和状態が過剰になるにつれて気を付けなくてはいけないのは、為替の状況です。現在の為替は「アメリカの独歩高」ですが、緩和規模によっては「円高に向かう可能性あり」だと覚えておいてください。アメリカドル為替は「有事のドル買い」により、基軸通貨のアメリカドルを手元に置きたいという心理から、すべての通貨に対して価値が上昇しています。ドル円為替も1ドル=111円までドル高が進みました。
しかしながら、今後はこの状況が落ち着くにつれて、金利差、資金供給量、緩和規模によって100円程度までは円高が進む可能性があります。これは新型コロナウイルスの影響が小さくなるほど発生してくる可能性が高いですので気を付けてください。
感染の鎮静化と、金融政策の正常化をうまくコントロールできるのであればいいのですが、その可能性は低いと考えられるため、鎮静化によってすべてがうまくいくとは一概には言えないかもしれません。